気温は高くないかもしれないが湿気があるから何となく息苦しさを感じる。
湿度が高いからかどうも体がシャキッとしない、それともこれも加齢のせいで自然現象なのかもしれない。
赤松利市さんの「隅田川心中」
赤松利市さんの「隅田川心中」を今回もハイスピードで読み終えたのは面白かったからだ。
主人公が64才という年齢にしては世間知らずというか、何故ここまで欲に溺れるのか。
先のことなど全く考えない主人公に呆れながら、こんな人も世の中にいるんだなぁと思い知る。
だから騙す人と騙される人がいるんだなぁと。
と言うか脅す人と脅される人の方が正しいのか。
他人事だから冷静に読めるけれど、息子たちがこんな簡単に騙されるとしたら平静ではいられないだろう。
役所の天下りのような協会と呼ばれる勤務先で専務理事の役職で日がな一日を過ごす独身の主人公。
狭い行動範囲の中、仕事のある日に通うこじんまりした喫茶店で昼食を摂る日々。
喫茶店のアルバイトの女性と懇ろになるのだが、そうなるように仕向けたのは実は表向き喫茶店主ではあるがこの男実のところは半グレ集団の元締めである。
裏ではあくどいことに手を染める輩なのだが、主人公は何も気づいていない。
喫茶店主はアルバイトの娘の父親の借金をかたに主人公からなけなしの貯金をむしり取り、更には喫茶店主の脅しにすんなり乗せられて協会の金を横領するまでに至る主人公。
最後は主人公と娘が行き場を失い心中する直前で物語は終わる。
自分にしたらよくもここまで人がいいにも程があるような騙され方や、主人公の短絡的な行動に驚く。
アルバイトの娘はこの話では気持ちは純粋無垢に描かれているが、生い立ちからしてこの娘が果たして歪まずに30代までを生きてきたかは甚だ疑問に思う。
けれど赤松利市さん=主人公にすると女性を神格化というのか良いように見ようという思いがあるようだ。
(いや、実際に天使のような女性が登場しているのかもしれないが、自分がそう思えないだけかもしれない。)
最後までその精神は貫かれていたようで、呆れると同時にそんな風に人を見られるのはもしかすると主人公の長所と言えるかもと思えた。
主人公はどこか世間知らずに育ったかして、性格も斜に構えることがなくそれは育ちの良さなのか。
それにしても主人公は欲望の前には全財産をつぎ込むような勢いで、娘の父親のギャンブル狂いも尋常じゃないが主人公にしても似たようなものだという思いもする。
ここまで常軌を逸した主人公を俯瞰した書き方の「隅田川心中」。
「隅田川心中」は”神視点”とあとがきで赤松利市さんが言っている書き方の小説だ。
Copilot
赤松利市さんご自身が主人公とすれば、主人公の行動や心情を別の視点から「こいつはこんなダメな奴なんですよ」とでも言っているかのような書き方。
主人公のどうしようもない性分に呆れているような、それでいて応援しているようなそれか全てを分かって受け入れているかのようだ。
赤松利市さん自身があとがきで”主人公の愛欲に溺れる情けない初老の男性のモデルは私自身です”と書いている。
確かに情けなくてここまで溺れるのかと思うけれど、これだけ真剣になれるのも人を信じて愛そうとする心があるわけだ。
喫茶店主の脅しにもあっさりと持ち金を渡してしまったり、判断するよりもけりを付けたい気持ちが勝って払わずともいいお金のために金策を練る無謀さ。
これが赤松利市さんの過去にあった出来事なのか、この主人公が・・・。
自分にないものを持っている赤松利市さんであり、これだけ自身をさらけ出す勇気にも驚きだ。
頭はいいのに好奇心とか欲求とかに素直でそのためには噓もつけて、ダメダメな人でもあり不思議な魅力もあり結論としては辛い生き方を選んでしまう人という気がする。
そして読者を引き寄せる魅力的な文章。
ダメダメ人間と思いながら読んでいても、色んな経験を持つ赤松利市さんの本に魅了されている自分がいる。
ガソリン給油と友人とお喋り
ガソリンの給油としばらくぶりにオイル交換をしてもらう。
エアコンフィルターの交換も勧められてお願いしたが、物がなくて次回の給油までに取り寄せて貰うことになった。
息子の迎えまで歩くつもりだったが、暑い中歩く気力が失せた。
靴屋さんの友人の店に立ち寄ってみるとお客がいなくて、来客対応になったら歩くつもりで話し込む。
彼女との会話は静かで水面が動かない湖みたいな落着きで気持ちが凪いで行く。
老後の心配や友人がローンで買った家の修理だとか取り留めのない日常の話は続く。
既に老齢基礎年金受給年齢に到達している友人だが、今日の話だと66才から年金を受け取ろうかと思っていると言っていた。
以前は年金を70才まで繰り下げるつもりだった友人。
けれど、色々とYouTubeなどを見ていると気持ちが変わったようだった。
実際に年金受給を繰り下げるとかかる税金も増える。
自分も以前は年金の繰り下げ受給を考えていたが、今は65才から受け取る気満々でいる。
自分の体にいつ何時アクシデントがあるか分からないし、貰える時に貰っておこうと思う。
友人はトイプードルのワンちゃんと2人暮らしだが、余生のギリギリまでペットを飼いたいと言っていた。
自分も心通わせたペットとの暮らしは憧れだが、年齢的に行って介護間近のペットとの暮らしになる・・・。
ここが自分の性格が出るところだが、愛情を持って最後のお世話をすることが出来るかと言ったら不安しかない。
10才位の子を受け入れてすぐに介護となると、虐待まではしないとしても愛情を持って介護出来るものか。
自分はそんなに愛情深くないと思う。
坂上忍さんがシニア犬のギン太郎君を最近受け入れて、ブログに写真をアップしているのをみるとご夫婦で大切にしているのだろう。
写真に見る普段のギン太郎君はとても可愛くて撫でたくなるくらいだ。
コメント